チェロケース


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毎週土曜日の午後になると、一見「カブトムシが歩いている」といった体で練習場に集まってくる人たちがいる。楽器ケースを背負ったチェロ奏者だ。

オレンジ、黄色、深緑、ネイビー、とカラーバリエーションが豊富なチェロケース。小学生の背丈ほどの大きさも加わって、並べられているケースは練習場の隅から存在を主張してくる。

また、多くのチェロ奏者はケースにステッカーを張り付け、自分用にカスタマイズしている。 「貼るのは側面だけ!」と決めている人から、買い足しては貼り、を繰り返してケースの表面を埋め尽くす人まで、楽しみ方は様々だ。『お気に入りの一枚』を貼ることで愛着がわき、他には代えられない特別なケースになる。

そうしてデコレーションしている団員の一人に、ステッカーの枚数を調べさせてもらった。その数、なんと109枚。ショッピング中に見つけたもの、演奏旅行で訪れる街で買ったもの、プレゼントで貰ったもの、はたまた誰かに悪戯で貼られたもの…と思い出をあげればきりがない。

チェロの団員は、楽器とケース合わせて最大10㎏分を背中に担ぎ上げ、歩きで、電車で、自転車で移動する。自分と一体となって音楽を奏でる楽器はもちろん、その楽器を守るケースもチェロ奏者の大事な大事な相棒なのである。