O.レスピーギ
 交響詩『ローマの噴水』


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 『ローマの噴水』は近代イタリアの作曲家オットリーノ・レスピーギ(1879~1936)の作品です。
 レスピーギは、留学先のロシアでリムスキー=コルサコフに作曲の指導を受けていました。そのためレスピーギの管弦楽曲では、師匠直伝の色彩感豊かなオーケストレーションが巧みに使われています。『ローマの噴水』もそんなレスピーギの魅力が感じられる一曲です。
 『ローマの噴水』は4つの部分から成っており、全曲が切れ目なく演奏されます。各部分において、夜明け、朝、昼、黄昏の4つの時間帯それぞれに、ローマの名所4箇所の噴水や周辺の情景が当てはめられています。ピアノ、チェレスタ、2台のハープ、そしてパイプオルガンまで動員した大編成のオーケストラによって、時には壮大な、時には幻想的な情景が色鮮やかに描かれます。
 では、ローマを彩る4つの噴水の囁きに耳を澄ましてみましょう。

I. 「夜明けのジュリアの谷の噴水」
第2ヴァイオリンの幻想的な音型に乗り、オーボエが牧歌的な旋律を奏でます。朝ぼらけにたたずむ噴水、そのそばを通り過ぎてゆく家畜が描かれます
II.「朝のトリトンの噴水」
静寂を突然ホルンの強奏が打ち破ります。舞台はローマ市内バルベリーニ広場、ほら貝を吹く海神トリトンの象をかたどった豪華な噴水が立ち現れます。朝の日差しの中踊るトリトンと妖精たちを、豪華絢爛なオーケストレーションで描いています。
III.「昼のトレヴィの噴水」
言わずと知れた観光名所、トレヴィの噴水。その噴水の中央に立つ海神ネプチューン(トリトンの父)の勝利を告げる凱旋の光景を描いたと言われています。低音に波のような音型が現れ、その上に管楽器が荘重な主題を奏で、次第に厚みを増し壮大に盛り上がっていきます。
IV.「黄昏のメディチ荘の噴水」
憂愁に満ちた夕暮れの情景。小鳥のさえずり、木の葉のささやきなどが巧みに表現され、やがて鐘の音とともに消えるように全曲を閉じます。

 1917年に行われた初演では不評を買ってしまった『ローマの噴水』でしたが、その翌年、レスピーギと親交のあった大指揮者アルトゥーロ・トスカニーニにより再演され大成功を収めました。その結果としてレスピーギは音楽界での名声を獲得することができたのです。のちに同じくローマを題材にして作曲された交響詩『ローマの松』『ローマの祭』とともに、『ローマの噴水』はレスピーギの代表作として今日まで親しまれています。

用語解説

ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844~1908)

ロシアの作曲家。管弦楽法の権威として知られ、第192回定期演奏会で演奏された『シェヘラザード』など、色彩感に富む管弦楽曲を多く作曲した。

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