J.ブラームス
交響曲第2番 ニ長調


 『交響曲第二番』作品73は1877年、ドイツの作曲家ヨハネス・ブラームスによって作曲されました。 ブラームスの最初の交響曲である『交響曲第一番』が、着想から完成まで20年余りを要した、いわば“難産”の曲であったのに対し、『第二番』は作曲開始から約4か月でほぼ完成に至っています。作曲を開始するまでにどれほど推敲が重ねられてきたのかは分かりませんが、現在入手できる資料からは、この4か月間の作曲活動がスムーズに行われたことが覗われます。

 『第二番』は『第一番』に比べて全体的な曲想が明るくなっており、これについては作曲がなされた地であるオーストリア、ケルンテン地方のヴェル ダー湖畔にあるベルチャッハの自然との関係性が指摘されています。ブラームス自身も、音楽評論家であるエドヴァルト・ハンスリックに宛てた手紙に「…ヴェルター湖という手つかずの土地では、メロディーが一杯飛び交っているので踏みつぶさないように気を付けて、とおっしゃることでしょう…」と書いており、その曲想の温かみから“ブラームスの田園交響曲”とも呼ばれます。
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ベルチャッハ

第一楽章 Allegro non troppo
ニ長調、ソナタ形式。冒頭、低弦の基本動機の上で、木管とホルンが柔らかい第一主題を奏でます。この動機がヴァイオリン、トロンボーンを加えつつ繰り返されます。その後、オーボエに導かれて、ヴァイオリンが基本動機を展開させた新しい旋律を奏します。この旋律がしばらく展開された後、木管と弦の軽やかな応答が現れます。こののちに、ヴィオラとチェロによる第二主題が基本動機を変形して奏でられ、それにヴァイオリンが先程と同じ音型で応答します。この主題が木管によって繰り返された後、歯切れの良いイ長調の音型が突然現れ、それに基本動機を用いた音型が続いて高揚したのちに、冒頭の主題が再び歌われます。

第二楽章 Adagio non troppo
ロ長調、ソナタ形式。チェロの第一主題から始まり、これがフルートとヴァイオリンによって繰り返されます。その後、ホルンののどかな旋律が奏でられ、それがオーボエ、フルートなどに受け継がれます。この旋律は、第一楽章の第一主題を用いたものです。続いて、木管による優美な第二主題が現れ、これが次第に厚みを増して奏されたのち、弱まっていきます。この後、ヴァイオリンに別の音型が現れ、低弦の細かい動きを伴って進み、展開部に入ります。

第三楽章 Allegretto grazioso (Quasi andantino)
ト長調、ロンド形式。まず、オーボエの素朴な主題(第一楽章の基本動機を用いたもの)が木管のあたたかな和音、チェロのピッツィカートの伴奏を伴って始まります。この後、曲は倍速になり、軽快なスケルツォ風の部分に入ります。ここでの主要主題は、冒頭の主題の変形であり、この中間部でも基本動機を展開させています。次第に曲は落ち着いていき、テンポが元に戻ると、前の主題が再現されます。

第四楽章 Allegro con spirito
ニ長調、ソナタ形式。弦によって静かな第一主題(ここでも基本動機が用いられている)が奏でられ、それに管楽器を加えて明るい旋律が続きます。その後、管と弦の強烈な音型や、木管の柔らかい旋律が奏でられたのち、ヴァイオリンとヴィオラの穏やかな第二主題が現れます。
展開部では短調になり、第一主題が展開されていきます。その後急に音楽は静まり、木管と弦が基本動機を用いた三連符で応答します。しばらくの静けさののち、第一主題が再び姿を現し、再現部に入ります。

『第二番』は、とても短いモチーフが繰り返し展開されているため、曲としての統一性が際立って感じられます。『第二番』に表れるブラームスの交響曲の世界を、是非お楽しみください。